シリーズもの(未完)
1
先輩
2
「ごちそうさまでした、早瀬さん」 早瀬の大学の後輩、西矢が隣で小さく頭を下げる。「いーえ。久々に西矢くんに会えて嬉しかったよ」 デザートまで食べ終え、西矢はコーヒー、早瀬は紅茶をそれぞれ飲みながらゆったりとした時間を過ごしていた。時刻は14…
3
なぜ歯医者に行こうと決心したときに限って歯医者は休みなんだろうか。 浅賀は自室のソファに座り読み始めたばかりの本をぱたりと閉じた。この連休に読むと決めていた歯学書。午前中早めに部屋の掃除を終わらせ、ようやく開くことができたというのに歯が痛…
4
「浅賀先生、全然酒進んでないじゃないですか」「あ、俺はもう――」「先生の送別会なんですよ? ほら、飲んで飲んで」 隣に座った須田はだいぶ酔いが回っているらしい。まだ空になっていないコップになみなみとビールが注がれるのを見て浅賀は乾いた笑みを…
5
翌朝、自宅マンションの外に一歩出た浅賀は9時過ぎとは思えない強い日差しに顔を顰めた。浅賀の顔は青白く、目の下には隈ができている。 浅賀が重い足取りでマンションの敷地を出ると、歩道を挟んですぐ前に黒いワゴン車が停まっていた。「浅賀先生、おは…
6
「先生ありがとうございました。楽になりましたよ」 西矢が1日の最後に担当したのは、仕事帰りのサラリーマンだった。先週の初診時は歯が痛いと沈んだ様子で診療室に入って来た彼。インレーをセットした今日は、あの日とはうってかわって晴れやかな表情をし…
シリーズもの(完結済)
1
常温に戻した栄養補給用のゼリー。 朝食がわりのそれを咥えながら歩いていると、あんたそんなんで足りるの?と心配そうな母さんの声が追いかけてくる。「最近食欲なくて」 適当にごまかしながらほぼ噛まずにゼリーを飲み込み、空になったパッケージをゴミ…
2
日曜日の部活帰り、おれは道路の向こうから二人組の男の人が歩いてくるのに気づいた。 そのうちの一人、遠目に見ても目立つほどでかい人影はたしかに見覚えがあって、慌てておれは隣を歩いていた一馬の背後に隠れた。「どうしたの、理玖」「ちょっとだけ隠…
定期検診
最初に夏兄の治療を受けてから約3ヵ月。 治療は無事に終わって、そろそろ初めての定期検診の時期だった。 歯医者からお知らせのはがきが届いていたのをしばらく放置していたら、夏兄から直接連絡が来てしまった。 はあ。行きたくない。「部活の大会終わ…
歯磨き
「うん、虫歯はないな。うがいして」 検診が終わって、椅子が起き上がる。ほっとしながら口をゆすいで、背もたれに寄りかかった。「じゃあ後は歯磨きの練習とクリーニングな。ちょっと待ってて」 夏兄が診察室を出ていく。たぶん衛生士さんを呼びに行ったん…
0
「早瀬、足りるのかそれで」 昼休みの教室。隣の席に座った藤川の視線の先にあるのは、俺が両手で持っているメロンパン。さっき購買で買ってきたものだ。「足りる」 前歯で少しずつ齧るように食べていると、藤川は眉を顰めた。「またどっか痛いのか」「………
1
日当たりの良い、無人の保健室はしんとしている。 痛い。 俺はさっきの体育祭の練習中、短距離走で擦りむいた膝を見つめる。短距離走で転けるなんて、皆が見てる前で恥ずかしかった。 消毒してもらって絆創膏でももらおうと保健室に来てはみたものの、そ…
2
衛生士さんに紙エプロンをつけてもらい、ユニットに腰掛けて待っていると、後ろから歯科医のものらしき足音が聞こえてきた。このときの緊張感は何度経験しても嫌いだ。「こんにちは」と挨拶をしながら斜め後ろの椅子に腰掛けた気配がしてすぐに、歯科医はゴ…
3
高校時代の同級生、早瀬が俺の働く歯科医院に偶然患者としてやってきたのが4ヶ月ほど前。もっと嫌がるかと思っていた彼は意外なことにおとなしく通院してきて、治療もとうに一段落しており、そろそろ次の検診をしようかという時期だった。 再会をきっか…
笑い話
※リクエストありがとうございました。※前の話から少し時間が経っています。 そろそろ早瀬の検診をする時期だ。診療時間が終わり、彼の予定を尋ねようと姿を探していると、ちょうどこちらに近づいてくるところだった。「早瀬、次の検診なんだが」「あー、そ…
歯磨き
診療時間後の歯科医院。俺は同僚の早瀬の検診をした後、磨き残しの確認のため染め出しをしたところだった。 全体的によく磨けているが、上顎は少し歯並びが悪いせいもあり、歯列が乱れている箇所がところどころ赤く染まっていた。「上が少し磨き残しが目立…
後輩の検診
ふう、今日の診療も終わった〜。 この後は柊崎と飲みに行く予定だ。楽しみだな。 そう思いながらうーんと大きく伸びをしていると、後ろから「早瀬先生」と声がした。 振り向くと、この歯科医院で働き始めて1年目の後輩、高野くんが不安げな表情で俺を見…
普段のお仕事
「早瀬先生、問診票です」「ありがと」「レントゲンも先に撮ったので、確認お願いします」「うん、分かった」 午後6時過ぎ。院内は仕事帰りの患者が増え始め忙しない空気が漂っていた。衛生士の須田からバインダーに挟んだ問診票を差し出された早瀬はそれを…
高3の春
友達に見られるかもしれないとずっと避けていた、高校から一番近い歯科医院。歯が痛くて痛くてもう選り好みする余裕なんかなかった俺は、授業が終わると部活を休んでそこに駆け込んだ。 運良く空きがあって診察室に通してもらうと、すぐに歯医者さんが来…
高3の夏
「あっつ……」 校門を一歩出ると早瀬がうんざりしたように言った。 夏休み中の週末、俺たちは学校で行われた模試から帰るところだ。頭上からは真夏の日差し、足元のアスファルトからもじりじりと熱が這い上がってくる。 シャツの一番上のボタンを外した早…
バレンタイン
「乾かすので沁みると思います」 左下6番のインレーセットをするため、頬と歯茎の間にロールワッテを置きながらそう言うと、患者である都築つづきさんがうぅ、と小さく声を漏らした。「結構沁みるんですよね……」 気持ちは分かる。インレーが入るのはただ…
ポッキーの日
「柊崎、今日なんの日か知ってる?」仕事の後、俺の自宅に飲みに来た早瀬。ほろ酔いの彼は食後にどこから出したのか、ポッキーの箱をちらつかせながら尋ねた。「しない」「なにも言ってないんだけど」「お前のことだからポッキーゲームしようとか言い出すんだ…
美容師さん
日曜日のヘアサロンは朝から全ての席が埋まっている。 自分が今日最初に担当するのは、早瀬夕椰ゆうやさん。家でも丁寧にヘアケアをして、いろんな髪色や髪型を楽しんでいるお客様だ。 「カラーの色味、変えてもいい?」「どんなの?」「ミルクティー系と…
姉弟
早瀬が職場に携帯を忘れて帰ったので届けることにした。 彼は最近引越したばかりで、前の家は何度か行ったことがあったが新居を訪ねるのは初めてだ。住所は教えてもらっていたので、最寄り駅から地図アプリを頼りに歩いていく。 この辺りか、と道端で足を…
お買い物
「早瀬は、いつもどこで服を買っているんだ?」 昼休憩で久しぶりに二人だけになると、柊崎が訊いてきた。弁当をつつきながら、いかにもさりげなくという口調。「好きな店が何軒かあるから、そこ行くことが多いかな。ネットでも買うよ」「そうか」「どうした…
お買い物の番外編
アクセサリーショップを出ると、ビルと道路からの照り返しが眩しかった。メインストリートは涼しげな格好をした人々が大勢行き交っている。 こういう賑やかな場所に来ることは少ない。楽しいが、少し疲れた。軽く息をつくと、隣にいた早瀬が俺の顔を見やっ…
姉弟+部下
ひき肉って難易度が高い。 内勤の日の昼休み。自分のデスクで、スープジャーに入れて持ってきた担々スープを食べながら後悔した。左下の奥歯に穴が空いていて、そこを避けて噛んでいるつもりなのにお肉がするっと入り込みそうになる。しばらくひき肉料理は…
1
バレンタインの夜。片恋の相手にもらったチョコを噛んだら右下6番が欠けた。 相手は俺と同じ歯科医師で、そして俺の主治医だ。明日出勤したら文句の一つでも言ってから治療を頼もう。無意識のうちにそう考えてすぐ虚しくなった。 彼、穂積ほづみは昨年末…
2
仕事に疲れた男が帰宅途中、とあるレストランを見つけて足を止める。通勤路のはずなのに見覚えのない店だと思いつつも中に入り、美味しい食事と優しい店主に癒されて帰っていく。翌朝、同じ道を通るとその店は跡形もなく消えていた——。 どこかで読んだ物…
3
***「今泉って人生イージーモードだよな」 中学生の時だった。進路や将来について真剣に考え始める頃。友人は羨ましそうにそう言ってきた。「え? どこが」「将来はお父さんの歯医者継げばいいから進路悩まなくていいし、そんな顔面があれば大抵の女子…
1
子どもが苦手だ。 普段の生活で接する分には問題ないし、むしろ可愛いと思っている。ただ、歯科医師として子どもを診ることに対して強い苦手意識がある。幼児だけでなく、中高生も。それくらいの学生のほうが苦手かもしれない。 その原因には心当たりがあ…
2
社会人3年目に入った頃、一人暮らしは寂しいが恋愛や結婚は面倒くさいと思っていた僕に友人が紹介してくれたのがシェアハウスだった。自分に合うのか多少の不安は抱えつつ物は試しと入居してみたところ、住人たちと付かず離れずの距離感は居心地がよく、気…
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またあの日の夢を見た。歯が痛くなってから何度も見た夢。「大きな虫歯にしちゃったんだから我慢しないと」 俺は診療台の上で顔や体を先生たちに押さえつけられている。口を閉じないよう器具で固定され、他にもたくさんの器具が押し込まれた。歯を削る音が…
4
いつかは昔の話をしなければいけない。 最初は、治療が終わったらと思っていた。そのうち、一晴がじゅうぶん治療に慣れてからと考えが変わり、いつしか、もう言わなくてもいいのではと魔が差すようになった。 一晴にとっても思い出したい出来事ではないだ…
保育士さん カレカノ/優しい歯医者さん カレカノ/虫歯持ち歯医者さん 「透真さぁ、わさび食えるようになった?」 毎年夏休みになると治療勧告書を持って来院する、顔なじみの高校生。診療台を倒し治療の準備をする間もいろいろと話しかけてくる。「もともと食えるから。あと透真じゃなくて安永先生な」「じゃあ今度寿司連れてっ… カレカノ/厳しめ歯医者さん ゲーマー大学生と仲間たち 兄に付き添われて治療を受ける高校生 「匡一きょういちさん、もしかして歯痛い?」 飲み会の最中、向かいの席に座る梅村直ただしに問われ、桑山匡一の箸が止まった。 小料理屋の座敷には4人掛けの食卓が4つ並んでおり、歯科衛生士の匡一が働く歯科医院のスタッフたちが集まっていた。席を移動… 「今日さぁ、朝から抜髄、抜髄、抜歯、抜髄だよ? もう疲れた……」 昼休みのスタッフルームで、僕の前に座る雪野が指を折りながらぼやく。パーマをかけた茶色い髪は不機嫌そうに揺れ、伏せた目の下で睫毛が白い肌に影を作った。 そのビジュアルや言動か… 今日の姫は朝からご機嫌斜めのようだった。診療はいつも通りちゃんとしていたが何か愚痴られそうだなと思いながら迎えた昼休み。雪野は意外にもおとなしい。——おとなしく、食事もせず紙コップで白湯を飲んでいた。「雪野、弁当は?」「もしかして頼みそび… 『またあした』 そんなメッセージを送信してから、涙が滲んだ。 明日で、もう終わりだ。大好きなのに。「あずさちゃん、外川とがわさん来たよ!」 街中にある、勤務先のコーヒースタンド。 香ばしい薫りに包まれた居心地の良い場所だ。ランチタイムを過ぎ…先生でしょ?
好き、嫌い
似たもの同士
似たもの同士 番外編
続きはまた今度
オフ会に行っただけなのに
末っ子の弱点
ハレーション
姫と騎士
姫と騎士 立場逆転ver.
歯医者さんの彼女
実から出た嘘
フェチ要素薄めBL
歯が痛い男子高校生
いちごオレが好きな子
歯医者さん⇄患者さん
歯医者さん同士
歯医者から帰ってきた男の子
誰かをイメージして書いたけど違う気もする
怖がりな小児歯科医
※特に何もしていませんがBLです
怖がってると思い込まれてるだけです
同僚に検診をしてもらった歯医者さん
2025年書き初め
「わたし仕事始めに会社休んだことあるんですよ。元日から風邪ひいて、長引いちゃって」「同僚にもいましたよ、そんな子」「歯医者さんもですか。意外とあるあるなんですかねぇ」「お仕事頑張ってると、休みに気が抜けるのかもしれないですね」 患者さんとそ…