友人の飴井は料理ができない。
俺が週末に食事を届けるようになって数年経つ。1週間分は無理だが、1、2日分と常備菜を少し、自分用のついでに作る。そうでもしないとあいつは毎日カップ麺を食べて暮らすか、あるいは何も食べない。そういう食生活を知ってしまうと放ってはおけなかった。
二人分の食事を準備するのは苦にならない。でも今週は少し憂鬱だった。
「痛え……」
スープの鍋をかき混ぜながら無意識のうちに頬をさすってしまう。
さっき味見をしたときに沁みた左上の歯の痛みがなかなか引かない。
味がいまいちだったからもう一度味見をしたかったが、こんな状態では無理だ。
でもまあ、こんなもんで大丈夫だろ。
鍋が沸いてきたところで火を止めた。
他にも何品か料理を仕上げ、小分けにしたパックを袋に詰めて俺は飴井の家に向かった。