家に帰り着いたのは22時前だった。
俺たちを待っていたように照明がつけられた玄関で「ただいま」と言うと、リビングから暖が顔を出した。
「おかえり」
最初は不安げに見えた暖の顔が、俺たち二人の顔を見て綻んだ。
「二人ともお疲れ様」
洗面所で手を洗い、俺は部屋に戻ることにした。安心したせいか、眠気がとても強い。
晃平は暖が軽く食事を作ってくれたようなので、それを食べに行くらしい。
「一晴」
階段を上ろうとすると、晃平に呼び止められた。振り返ると、晃平が近づいて俺の手を握る。
「本当に頑張ったね」
「……どうしたの、急に」
「この前、ちゃんと言えてなかったと思って」
そうだった。今日はほとんどいつもの晃平だったから忘れかけていたけど、この前は様子がおかしかった。
あれは、何だったんだろう。
「これからもゆっくりやっていこうね」
両手が温かい。晃平の優しい笑顔も心地良い。
「うん。頑張るから、これからもよろしくね」
この前のことは深く考えないほうがいい。直感がそう告げている気がした。