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 エプロンが外されてやっと力が抜けていく。
「お疲れ様。内田」
「ん。……本条もな」
 本条がマスクを取り、ぎこちなく微笑んだ。
「痛い思いをさせて、すまなかった」
「お前のせいじゃないだろ」
「……でも」
「あーもういいって。それよか、どうする? お前の治療もしないとだろ」
 その瞬間、本条の顔がさらに強張った。本当に治療が苦手なのがわかる。俺も今日のことを思い返すと人のことを言えたものではないが。
「とりあえず花北に話してからにするか」
 冷静になってみるとだいぶ恥ずかしいところを見せた。今から歯医者面をするのは無理じゃないか。本条もそんなにすぐ切り替えができるのだろうかと思い、そんな提案をしてみたのだが。
「……いや、早いほうがいいからな。花北さんには連絡するから、このあと治療してほしい」
「ん」
「もちろん内田が疲れていなければ、だが」
 まただ。本条はすぐに不安そうな顔をするのがよくない。
 嫌われるんじゃないかとまた思っているのだろうか。本条に置いて行かれることはあるとしても、俺のほうからそう簡単に本条を嫌いになんてならないのに。
「大丈夫だよ、心配すんな」
 今回のことみたいに、これも本条と同じ気持ちだと信じたい。