問診が終わるといよいよ診察だ。
椅子が倒されて、マスクをした夕椰さんに上から覗き込まれた。
「体勢苦しくないですか?」
「いやシャンプーじゃないんだからさ」
「ごめん、なんか言ってみたくなって」
そう言いながら夕椰さんがライトをつける。横からは器具を取る音も聞こえた。
「沁みるところから診ようかな。開けてね」
口を開けると右側からミラーが入れられた。
「もう少し開けられる?」
「むりかも……」
十分開けているつもりだった。でも、んー?と夕椰さんは小さく首を傾げた。
「いつも笑ってるときの依さん、もうちょっとお口開いてる気がするなー」
頰の内側をミラーでそっと押される。そんなに力は入れられてないのに、さっきよりも大きく口を開けてしまった。
「ありがとうね。一番奥かな……そうだね、ちょっと穴が空いちゃってるみたい」
やっぱり虫歯か……。予想はしていたけどちょっと落ち込む。
また器具を取る音がした。
「痛くはないと思うけど触るよ」
カリッ、と溝のあたりが引っかかれる。痛くなかったけど体に力が入ってしまった。
「痛かった?」
「ううん」
「よかった。後でレントゲンも撮ってみるけど、そこまで進行してなさそうだよ」
他のところも診ていくね、とミラーが動かされていった。