あっという間に翌週の金曜日。
僕は自分の医院のユニットで椋先生に見下ろされていた。嫌ってほどではないけどなんだか落ち着かない。
「久しぶりだから緊張しますか?」
椋先生が目を細める。ライトの光がちょうどいい角度で眼鏡に反射して2割増しで厳しそうな歯医者さんに見えた。
「緊張してきました……」
「どこか気になる所がありますか?」
「特には。あ、たまに右上が沁みるかもです」
「右上?」
開けてください、と椋先生の指が唇に触れる。
「何番ですか?」
「5か6くらいのような」
口を開けると、ミラーが入ってきて椋先生が右上にじっと視線を注ぐ。
「うーん……綺麗に見えますが……打診痛確認しますね」
コツコツと5番と6番が叩かれる。
「痛みは」
「ないれす」
「エアーもかけてみます」
シュッ、シュッと勢いよくエアーがかけられる。でも痛みはなかった。
スリーウェイシリンジとミラーが抜かれ、どうですか?と椋先生が尋ねる。
「大丈夫みたいです」
「日頃から沁みる日と沁みない日がありますか?」
「そうですね。ほんと、沁みるのはたまにです」
「知覚過敏だと思われます。7番の治療をしたときにこの付近のデンタルを撮りましたが、特に異常は認められませんでしたし。様子をみましょうか」
「わかりました」
「春田先生は少し歯磨きが荒……失礼、力が強いので優しく磨くことを心がけてください」
「頑張ってオブラートに包んでくださりありがとうございます……」
「では、全体的に診ていきますね」