ポッキーの日

「柊崎、今日なんの日か知ってる?」
仕事の後、俺の自宅に飲みに来た早瀬。ほろ酔いの彼は食後にどこから出したのか、ポッキーの箱をちらつかせながら尋ねた。
「しない」
「なにも言ってないんだけど」
「お前のことだからポッキーゲームしようとか言い出すんだろ」
「さすが柊崎。話が早くて助かる」
「だからしないと言ってる」
「えー? 面白いよ?」
「面白いのはお前だけだろ……それにだ、ほら、甘いものはなるべく控えたほうがいいからな」
もっともらしい理由をつけてみたが、早瀬は俺が今から食べようとしていたエクレアにじっとりとした視線を向けただけだった。
「デザート目の前に置いてる人がなに言ってんの?」
……エクレアなら、ポッキーよりは歯に付かないだろ」
「大差ないと思うけど。てか懲りないよねぇ、昼もお菓子食べてなかった?」
「食後すぐに食べて、すぐ歯磨きはしてる」
「ふーん? 柊崎歯磨き上手いからねー、いくら甘いもの食べても大丈夫だよねー」
恐ろしく棒読みで言われ耳と心が痛い。
「これでもし次の検診で虫歯できてたら早瀬先生泣いちゃうんですけど」
「そ、そういうお前こそ、普段は気を付けてるのにくだらんノリでポッキーなんか買ってくるとは見損なったぞ」
「くだらんノリじゃないし。柊崎の反応見たかったの」
「それをくだらんノリと言うんだ」
「はぁ、ほんとつれないよね」
「一体なにを期待してたんだ……
「もっとこう、えっ俺と?みたいに可愛く動揺するとかさ」
「するか」