診察台が倒されると、尚はふらふらと落ち着きなく視線を動かす。
俺はその顔を上から覗き込んで手を握った。
「じゃあ、俺は待合室に行ってるから。頑張れよ」
「ん……」
尚は頷いたけど、なかなか俺の手を離そうとしなかった。
「……なあ、結斗」
「ん?」
椅子に座って器具を準備している結斗に俺は尋ねる。
「付き添いって、あり?」
「え! ま、衛、何言って……」
尚が慌てて俺の手を離す。
結斗はちらりと尚のほうを見て答えた。
「俺としてはあり、だけど」
「よ、よくない。衛は待合室行っててよ」
「俺は付き添いたいんだけどだめ?」
「だめ」
「なら仕方ないか」
尚のことは心配だけど、見られたくない気持ちも分かる。高校生だし、その気持ちは尊重してあげたほうがいいかもしれない。
「じゃあ結斗、あとはよろしく」
「ん。じゃあ一緒に頑張ろうな」
「は、はい……よろしく、お願いします」
相変わらず不安そうな表情で俺のことをちらりと見た尚に笑いかけ、俺は診察室を離れた。