「すみれせんせい、はがいたいの?」
ある日ひなちゃんを膝の上にのせて絵本の読み聞かせをしていると、いきなりそんなことを尋ねられた。
「え? ……そんなことないよ」
「でも、よくほっぺたさわってるから。だいじょうぶ?」
「だいじょうぶ」
ひなちゃんに笑顔で答える。
全然、大丈夫じゃないんだけど。
子どもの鋭さを少し恐ろしくも感じながら、私は誤魔化すようにひなちゃんに尋ねた。
「ひなちゃんはしゅうくんの歯医者さんに行ってるの?」
「うん! ひなね、ぜんぜんむしばないよ!」
「そっかあ。えらいね」
「しゅうくんにおしえてもらって、いつもキレイにはみがきしてるもん」
……ほんとにえらいなあ。
こんな小さな子もちゃんと歯医者さんに行ってるのに。
「すみれせんせいも、はがいたいならしゅうくんにみてもらう?」
「え? ううん、先生は大丈夫」
ひなちゃんは少し首を傾げつつも、つづきよんで!と私に催促する。
危なかった……。
胸を撫で下ろしながら、私は読み聞かせに戻った。